夕焼け色の再会
「お母さんの死の状況が状況だけに、誰にも言うことができなくて。黙っていなくなって、そしたらみんないつか私のことを忘れてくれるんじゃないかと思った」
それでも、忘れられたくないと願ったのも、忘れたくないと祈ったのも私自身だ。
「だけど、結衣にだけは、結衣にだけは覚えててほしかった。私がたしかに、そこにいたこと・・・・」
結衣と私は、私が皇ヶ丘学園の中等部に入った頃からのライバルだった。
互いに同じ夢を掲げ、本気でそれを叶えようとしていたからこそ、ぶつかりもしたし何度もこじれそうになった。
私の膝が壊れたとき、しがみついて泣いてくれたのは結衣だった。
それが原因で父が出ていき、絶望の淵に立たされていたとき、その状況を打ち明けられたのは結衣だけだった。
泣けなくなった私の代わりに、私が辛いときに泣いてくれたのは結衣だった。
他の仲間だってもちろん大切だ。
けれど、それ以上に、結衣だけは。
「結衣だけは、特別だったから・・・・」
私のその言葉に、結衣はかつてのように私にしがみつき、また泣きはじめた。
変わらない、子どものような泣き方。
かつてのその光景と違うのは、私もまた、泣いていること。
もう、私の代わりに泣かないで。
そう言いたかったけれど、なにも言葉にならなかった。