夕焼け色の再会
「でも、これが結衣との最後になるんだと思ったら、なんて言えばいいのかわからなくて。結局、なにも説明しないまま、あのメールを送って終わりにした。
転校して、誰も私を知らない場所で、一からやり直した。私は、それまでの自分もみんなとの時間もぜんぶ、なかったことにした」
それは大きな裏切りのように思えた。
申し訳なくて、どう思われているのかが怖くて。
だから、もう二度と会うことはできないと、たとえどんなに心が焦がれても会いはしないと、誓ったのだ。
「でもまさか、こんなところで会うなんて・・・・」
お父さん、これはあなたが引き合わせたのでしょうか。
運命なんて陳腐なもの、信じたことはない。
けれど、父が生まれ育ったこの家で、こうして結衣と再会できたこと、これを運命と言わずして何と言えるのだろう。
「ごめんね、ごめんね結衣っ・・・・」
切れた絆をもう一度結び直す機会を得られた私は、ひたすら謝ることしかできない。
すべて捨てて逃げ出したことを、許されるかはわからない。
私は彼女を、彼女たちを裏切り、たしかにあったはずの信頼を失った。
それなのに。
「謝らないでよ。亜美は、亜美は仲間だよ。一緒にいられなくなったって。亜美にとって“紅の魔女”も高等部のバスケ部も、そんなに薄情なメンバーばっかりだった?」
「そんなわけない!」
最後まで守りたかったもの。
本当に誇らしかったのは過去の自分ではなく、それを形にしてくれた、かつての仲間たち。