夕焼け色の再会
「じゃあもう、ごめんねはやめて。亜美の残した“ごめんね”はもう飽きた。
申し訳ないとか、裏切ったとかもやめて。あたしたちは、裏切られてなんかない。ただ少し、道が枝分かれしただけ」
失った未来ばかり想い続けて、勝手に手遅れだと、もう無理なのだと思い込んで、壊れてしまったそれをもう一度作り直そうともしなかった。
自ら葬った過去を、自分で追悼することほど滑稽なことはない。
でもそうしなければ誰も、私が自分自身を喪ったことを悼んでくれないのだから。
そうやって、いつもひとりで自分を慰めてきたのだ。
「そう思ってもいいの? 私、全部捨てて、みんなになにも言わずに逃げてきたのに」
「関係ないよ。だから、捨てたとか逃げたとかもう言わないで」
こんなときは、ごめんね、ではなく。
「ありがとう」
そう言えばいいのだと教えてくれたのは、結衣だった。
目を瞑らなければ、耳を塞がなければ、そして心から求めたら。
優しくない現実だけでなく、夢のような奇跡も、もしかしたら起こるのかもしれない。
たまにはそんなことを思ってみてもいいのかもしれない。