夕焼け色の再会
Are you waiting for someone?
再び羽島くんを部屋へ呼び戻したときには、私たちはかつてのように笑い合えるようになっていた。
もう戻らない時間を、求め悔やむことは終わりにしよう。
私たちは、新しい私たちになるのだ。
誰も皆、立ち止まっていない。
今も濃く脳裏に焼きついた、光のように駆け抜けたあの日々は、決して偽りではない。
もしもそれがすべて嘘で、信頼しあえていたことすら幻だったのだとしたら、私たちがたとえ再会したとしても、それは心にごく小さなかすり傷をつけただけだっただろう。
そしてまた今の私がいるべき場所に戻ったときに、自分の居場所はここだけだと、置いてきたままの過去を清算することもせずに忘れられる時を待つだけだ。
けれども私は、許されたいと願うだけではなく、向き合う強さを、たとえ虚構だとしても得ることができたのだ。
そして、一度失った大切なものを、取り戻すことができた。
ひとつずつでいい、ひとつでもいい。
凍えていた心を融かして突き動かし、行動できた勇気は、手を伸ばすことは怖くないのだと私に教えてくれた。
叔父に話したように、私は欲張りかもしれない。
なにかを欲し、望む資格など、私にはないのかもしれない。
それでも、咎められたとしても、もう手放せそうにない。
私は、どれだけ願っても手に入れられないものがあることを知っている。
だからこそ、取り戻せるものがあるならば、臆している時間はない。