夕焼け色の再会
鼻腔をくすぐる花の香り。
目に鮮やかな、深い夜空色。
父がすべてを捧げたバスケのユニフォームと同じ色。
ムーンダストという、美しい紫色のカーネーション。
その花言葉どおりの、永遠の幸福を父が手に入れてくれていることを願って。
父は私の一生の憧れ。
その背中を追いかけて、私は今ここにいる。
長谷川家の墓の前で、花束を渡される。
運転手の松野さんはそのまま少し下がって、気配を消すように控えた。
多分、私のセキュリティも兼ねているのだろう。
私自身にはなんの価値もなくても、長谷川の血縁という家柄に価値を見出すことはできる。
私はしゃがんで、そっと手を合わせた。