夕焼け色の再会
私が突然いなくなっても、あの膨大な生徒数を誇る巨大な学園の、ほんの少しの人間しかそれに気がつかなかったらしい。
当たり前といえば当たり前だ。
それでも、失った私という存在に心を痛めたかつての仲間のことを思うと、涙で目の前の結衣の輪郭が滲む。
私がプレイヤーとしての価値をなくしたとき、私はあの学園にいる価値もなくなった。
皇ヶ丘学園には、強い部活はバスケ部以外にも多くある。
サッカー部、弓道部、水泳部、文化系で言えばオーケストラ部や合唱部も、全国レベルの実力を持っていた。
けれど、その中でもやはり特別だったのはバスケ部だった。
一目置かれていたのも本当だし、正直に言うならばその特別扱いに気分を良くしていたのも間違いではない。
しかし、チームがたとえ頂点を極めても、私個人はそこから脱落してしまった。
向けられた目や言葉の冷たさは、当時まだ中学三年生だった私には、受け止められないものだった。
私は自分の立場をわきまえ、ひっそりと目立たないように学園生活を送り、そして部活ではマネージャーという裏方にまわることになった。
高等部に上がれば、大半の人間は私への興味をなくし、侮蔑の目どころか誰かの視界に入ることすら少なくなっていた。
私の存在を認識していてくれたのは、部活の仲間だけだったといっていいだろう。
そしてその少ない仲間だけが、ひっそりと姿を消した私のことを、悲しんでくれた。