夕焼け色の再会
「何のことかな」
うそぶく叔父の声はそれでも楽しそうで、私のぶしつけな質問に不快感を覚えた様子もない。
「気づかないわけありません。あんなに不自然な再会。
仕組まれた以外にないでしょう」
笑いを噛み殺したような声が漏れ聞こえてくる。
「そしてあんなことを仕組めるのは、叔父さま以外にはいません」
決して責めているわけではない。
むしろ感謝しているからこそ、気づかない振りをするのをあえてやめたのだ。
「パーティーが予定されていたのは本当だったんでしょうね。
そこで、私の友人だった村瀬結衣の婚約者である羽島総司を呼べば、パートナーとして彼女も一緒に来ることがわかっていた」
「あの二人が婚約していたとは知らなかった。HASHIMAと村瀬物産の株を買っておくべきかな」
「インサイダー取引になりますよ」
あくまでしらを切る叔父に合わせて、私も少しふざけた話し方になる。
「偶然じゃないかな。偶然って、便利な言葉だと思うよ」
「偶然というより、奇跡に近い再会でした」
あれが、叔父が仕組んだものでなければ、と言外に含ませる。
「歳のわりに現実主義すぎたきみが、奇跡なんて言葉を使うようになって嬉しいよ」
あくまで叔父は、真相を明かすつもりはないのだろう。
それならそれでいい。