夕焼け色の再会

「どちらにしても、すべて叔父さまのおかげです。ありがとうございました」


自ら手放したのだからと諦めていたものを、もう一度手にすることができたのは。

怖くて手を伸ばすこともできない私のままでいることを、叔父も、きっと私自身も望んではいなかった。



「その奇跡は、きみの背中を少し押しただけだよ。踏み出したのは、きみの意志だ」


こんな優しさに触れることを、今までの私ならためらっていただろう。

ためらって、そして、拒んで諦めていたはずだ。

けれども今は違う。



「求めることを恐れることも、手に入れる前から失うことを考えるのも、やめたんです」


それは決意を込めた言葉だった。

きっとこれからも揺らぐことはあるだろう。

けれど、こうありたいと願う、その理想の自分の像があるならば、それに近づくように努力できる自分であると証明したかった。


叔父との電話が終わってからも、私はそのまま携帯を握りしめ続けていた。




私の生きるこの道の先に、明るい未来が待っているとなんの疑いもせずに信じられるほど、私は純粋ではない。

自分自身を見失い、立て続けに両親を喪い、身を切られるようなつらい別れを経験したからといって、もう怖いものを見なくて済むわけでもない。

それでも今は、溢れんばかりのこの幸福感に浸りたいと思った。



瞳を閉じるとまぶたの裏に、いくつもの笑顔が浮かぶ。

そのすべてを抱きしめると、涙が頬を伝った。



溢れる涙をぬぐうこともせず、ただ微笑む私を包んで、夜はふけていった。




          Fin.
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