夕焼け色の再会
17年前の願い
自分ひとりには広すぎる部屋にはいたくなくて、とりあえずそこを飛び出した。
私にあてがわれた部屋はきっと客用のものではない。
叔父たちの部屋の近くだということは、私は正式にこの家の人間だと認められてしまっているのかもしれない。
もうなんでもいい。
どうでもよくなってくる。
記憶を頼りに玄関までたどり着き、外に出る。
部屋の窓から見えた中庭を目指して、敷地外がまったく見えない切り取られた世界を歩く。
綺麗に手入れされていて、花が鮮やかに美しく咲く庭。
ここは楽園なのかもしれない。
閉鎖的で、夢のような。
ここにいれば皆が守ってくれて、もう傷つかずに済むだろうか。
辛い現実から目を背けたまま、ただ幸せに生きていけるだろうか。
そんな考えが非現実的で、かつ現実逃避だとはわかっていても。
そう思ってしまう私は、愚かなのだろうか。