夕焼け色の再会
あてもなく庭園をさまよっていると、古びた温室を見つけた。
そっと扉を開けて、中にすべり込む。
4月とはいえ少し肌寒かった外とは違い、あたためられた空気が身に染みてきた。
外観はとても古かったけれど、修繕の痕が随所にあり、ここが大切にされてきた場所だということがわかる。
アンティークな洋館のような、不思議な雰囲気があった。
隠れ家のようなそこに身を潜めていると、少し心が落ち着いてくる。
鉢に植えられたバラのふっくらとしたつぼみを見て、それが咲く日にはきっと私はもうここにはいないのだと思って、少しだけ寂しくなった。
奥に進んでいくと、なぜかガーデンテーブルと揃いのチェアがあった。
長い間使われていないといった風ではなく、まるで誰かがそこに座るのを待っているか
のようで。
ここは本当に誰かの隠れ家なのかもしれない。
少しだけ。
誰かの空間に間借りするだけでもいいから、誰かの気配に身を委ねたかった。