夕焼け色の再会
「カウンセリングにはちゃんと通っているみたいだね」
「あ、はい」
唐突なその質問に、返事が少し遅れた。
私は叔父の勧めでこれまでに数回、カウンセリングを受けていた。
大袈裟だと思ったけれど、それで誰かが安心してくれるのなら構わない。
もちろん、病院ではないから薬は出ない。
ただ話を聞いてもらっているだけだ。
ただ、私は自らの意思で通っているわけではないし、その必要があるとも思っていないため、話すことはあまりない。
過去の話や両親のこと、自分の怪我など、話すべき内容はきっとたくさんあるのだろうけれど、それを口にする気にはなれなくて、いつも当たり障りのない世間話をして帰って来る。
核心に迫るような内容をひとつも話していないのだから、気が楽になるわけでもないし、考え方が変わったわけでもない。
周りから明るくなったなどと言われたこともない。
なんの意味もないのだから、そろそろ行くのはやめようと思っているところだった。
誤魔化すように、口元だけで笑みを作っておいた。