夕焼け色の再会
「怖いんです、自分が」
「怖い?」
この想いを誰に言えばいいのかわからなかった。
本当は。
自分の中にある弱さが狂気へと変わっていきそうで、耐えられなくなりそうだったのだ。
「私、どんどん欲張りになっているから。なにも持っていなかったから、いろんなものを欲しがっていたのに。ないものねだりだってわかっていても」
いつか失うかもしれないからと。
永遠などないとわかっていたから。
だから私はあえて、手に入らないものばかり欲しがっていた。
手に入れる勇気さえないのに、どうしてこの腕を必死に伸ばして捕まえようとしていたのだろう。
「少し満たされた気がする今も、まだ手に入れたいものはたくさんあって。なにを手に入れても満足しなくなったら今度は、失うことに耐えられなくなりそうで」
私はもともと欠陥だらけで、いくら穴を塞いでも、水を注げば漏れてしまうバケツのような人間だったのだ、きっと。
しっかり受け止められずに流れ出てしまった水は、私が置いてきたあの人たち。