夕焼け色の再会
最終的に出来上がった私の姿は、自分でも驚くほどだった。
いつもより艶が増した髪は綺麗に編まれてまとめられていて。
少しだけ残して巻かれたおくれ毛は、デコルテが美しく見えるように計算されたワンピースの胸元にかかっている。
いつもぼんやりした印象を相手に与えてしまう顔は、きつすぎない程度に目元を強調してはっきりした顔立ちに見えているはずだ。
マッサージの効果なのか、少しむくみも取れた気がする。
「お気に召しましたか?」
「はい、とても・・・・。ありがとうございます」
二人の目を見て返事をした。
伝えられるときに伝えておかなければいけない。
感謝の言葉を口にできないような傲慢な人間性をもつ反面教師を、私は皇ヶ丘学園でたくさん見てきた。
財力や政治的な面で影響力のある家に生まれたことが災いして性格に難を抱えている人間は多くいた。
気が付いたらその環境だったのだからそういった自覚がない人も多く、そういう人はよりたちが悪かった。
そしてこういう状況になった今、今度は自分がそうなってしまうのではないかと、私はそれを危惧していた。