夕焼け色の再会
ビーズで花の模様が描かれたクラッチバッグを持って改めて鏡に向かってみると、少しやりすぎのような気もしてきた。
家族で外食をするのに、こんなに着飾るのは普通なのか。
けれど、長谷川家自体が普通の家庭というものをあらゆる意味で凌駕しているため、そんな一般常識には当てはまらないだろう。
この家に入ってすぐに通された応接間で叔父たちが待っていると言われ、そこへ移動する最中もなんだかこの姿に慣れなくて、すっきりした首筋を何度も手でさすってみた。
扉を開ける前に、一度背筋を伸ばして深呼吸をした。
この場にもっともふさわしい私を、演じ切れるように。
自分の服装が正しかったのだと知ったのはその直後だ。
叔父はジャケットにネクタイをしているし、叔母もドレスアップしていた。
ただ、着慣れている二人と比べると、私は服に着られているように見えるけれど、それは仕方がないだろう。
ドレスコードのあるような場所に行ったことなどないのだ。