夕焼け色の再会
食前酒のシャンパンは舐める程度にし、その他はペリエをオーダーした。
こういう店ではアルコールが飲めないからといってソフトドリンクを頼むのは、料理の味を邪魔するため、控えるのがベストである。
皇ヶ丘学園のマナー講座ではそう教えられた。
社交界デビューを控えた同級生も少なくない学校だったから、そのくらいは知っていて当然、それどころか中学生でもアルコールに親しんでいた生徒すらいた。
けれどワインを飲んだことのない私がそれを口にしても、その価値はわからないだろうから、それは成人を迎え、アルコールを楽しめるほど慣れてからにしようと思った。
フランス料理を美味しく味わうためには、マナーももちろん必要だけれどそれ以上に、相手と食事を楽しむ気持ちと、食材に対する感謝と、給仕やシェフへの気遣いが大切だ。
そして私はそれらの項目をすべてクリアできたと言っていいはずだ。