夕焼け色の再会
「はい、ありがとうございます。でもグリーン車なんて・・・・」
「いいんだよ。快適な方がいいに決まっているからね。それにきみにチケットを用意させたら、母に叱られるよ」
肩をすくめる叔父の姿が見えるようで、唇から笑いが漏れた。
いつから私はこんなに自然に笑って、こんなに穏やかな日々を過ごせるようになったのだろう。
心が、弾む。
もっと自分らしい自分になりたい、そしてそんな自分を見てほしい。
誰に見てほしいかはわからないけれど、そう思った。
私はゆっくりと変わっていた。
けれど、それでもきっと、速すぎたのだろう。
追いつけていない自分には、気づいていなかった。
「ああ、それから母から伝言だけど」
「はい?」
「『荷物持ってきたら捨てちゃうわよ』ってきみに伝えろって。きみの服なんかは菜穂と一緒に大量に用意してるから、身一つで来ればいいって」
「でも・・・・」
「うちの母は、やると言ったらやるからね」
冗談ではなさそうな響きが含まれたその言葉に、反論を飲み込むしかなかった。