夕焼け色の再会

ただ愛でられて、開放されているかのような大きな鳥籠の中で、好きな時に歌い眠り、微笑んでいればいい。

私に求められているのは、ただそれだけだ。

それはなんて甘美な誘惑なのだろう。


けれど。

どれだけ愛でられてもなお決して、私の心の最奥はそれを求めないのだろう。

それが私なのだから。


すべての苦しみも悲しみも感じさせないように、守ってくれる人がいる。

私のことを想い、心を痛めてくれる人がいる。

その優しさに甘え、頼ってはいけない。



私は人生を、ただ楽しくあればいいとは思っていない。

しかし困難を乗り越えた数だけ、その人の価値が高まるとも、苦難ばかりの人生を歩みたいとも思っていない。


自分らしく生きること。

それが大切だとはわかっていても、その“自分らしさ”を見つけられないままでいる私に、そんな器用な生き方ができるはずもない。


どれだけ華やかに着飾っても、どれだけ煌びやかな世界に身を置いても、私自身がそれに見合うようにならなければ、なにも変わらないのだ。

そんな風にして生きたいとも、思っていないけれど。

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