夕焼け色の再会
ルビーとサファイア
翌日は朝からパーティーの準備で慌ただしかった。
しかしそこは長谷川家の使用人、客人を迎える用意を手際よく進めている。
玄関ホールのシャンデリアは付け替えられ、著名なフラワーデザイナーによって生けられた花が彩りを添える。
庭師が手入れを欠かさない庭園も、芽吹く緑がまぶしいほどだ。
私が手伝いをさせてもらえるわけもなく、柔らかな日差しの当たるテラスで、叔母にレース編みを教わっていた。
「こういう丸いものは中心から編んでいくのよ。この編み図はくさり編み」
小さなコースターひとつでも、まず編み図の記号の読み方もわからない私には、途方もない作業のように思えた。
叔母の白く長い指が巧みに動き、手本を見せてくれる。
私の部屋に飾ってある花瓶の下に敷いてあるドイリーも、叔母が編んでくれたものだという。
「目の大きさを揃えるのが難しくて・・・」
私が編んでいるものはとてもこれからコースターになるとは思えない代物だ。
叔母の手によって作り出されているものと、根本的に何かが違う。