夕焼け色の再会
午後も三時をまわると、会場となる別館はほぼ準備が整っていた。
私も一度シャワーを浴びて自らの身づくろいに専念する。
とはいえ、ここへ来た初日にヘアメイクを施してくれたスタッフ二人がいるため、私にできることはただ座ってじっとしていることだけだった。
何度見ても飽きることのない、美しいドレス。
もしもここに父がいたら、このドレスを着た私を見て、何と言うだろうか。
素直に褒めることはないけれど、馬子にも衣装だなんて皮肉を言う人でもなかった。
それでも少しぐらいは、あの仏頂面をゆるませて、ほんの少しだけでも笑ってくれるだろうか。
もしも母がここにいたならば、揃って誂えたドレスを一緒に着たかった。
そして誰かに、まるで姉妹のようだと言われてみたかった。
優しく微笑む母の顔を思い出すだけで、今でもこんなに切ない。
叶えられない願い事は、自らが踏み出すだけで変えられる現実をも、不可能にさせてしまう。
それでも、なにかが変わる予感が、ただそこにはあった。