夕焼け色の再会
高級車が次々と乗りつけられ、出席者がそれぞれ会場へと入っていく。
政界の大御所や経団連の会長、日本を代表する大企業の経営を担う者など、そうそうたる顔ぶれだ。
テレビなどで見たことのある顔も少なくない。
やはり私と同年代の出席者は少なく、叔父でさえも若いと思える年齢層だった。
私は叔父に連れられ、出席者に挨拶をしていた。
たいてい、成金と呼ばれる人間や、旧家の家柄を手に入れたい人間は、私を値踏みするように下品な目を向けてくる。
そんな見え透いた欲望をかわすように、にっこりと微笑んでいるのが私に与えられた使命だ。
やりすぎとも思えるくらいに完璧に作り上げられた容貌。
それは同年代の子女や子息をもつ者への牽制の意味も込められている。
場違いだなんて、今は思わないことにした。
与えられた役を、期待された通りに演じるのは、今までもやってきたことだから。
大丈夫。
偽りだとしても、自分でも区別がつかなくなるほど馴染んでしまえば、もうそれは本物と呼べるのだから。