夕焼け色の再会

「初めまして。羽島総司と申します。父がいつもお世話になっております」


三人が談笑をする中、私だけが微笑みを浮かべたまま口を開くことができずにいた。

表面上はそうは見えないだろうが、焦りと戸惑いでひどく混乱している。

予想できていたはずなのに。

皇ヶ丘学園の関係者が、このパーティーに出席することぐらい。


それでも、同じ年頃の人間はそれほどいないだろうと高をくくっていた部分もあった。

しかし、もう現実になってしまった。



「ご子息は皇ヶ丘学園に通われていらっしゃるとお聞きしましたが」

「ええ、うちは代々皇ヶ丘でしてね」


やはりそうだ、間違いない。

顔も名前も同じだが別人という、馬鹿げたかすかな望みも消えた。


「お嬢様はどちらの学校で?」

「私は藤城女学院です」

「女性の教育に関しては素晴らしい学校ですからね」


あらかじめ打ち合わせておいた通り、私は叔母の母校である藤城女学院に在学していることにした。

しかし、私の過去を知っている人間の前でそのような嘘をついて、一体何になるのだろう。


そのまま数分会話を続け、叔父の携帯電話に着信があったことで、羽島親子と私は分かれた。



羽島総司は私について何も言葉を発しなかったが、気づかないはずもない。

それを裏付けるかのように、彼はすれ違いざまにこう囁いた。



「今日は、久しぶりに長谷川さんに会えてよかったよ」


と。

この再会が、どうか悪い方向へ行かないようにと願うことしか、私にはできなかった。


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