夕焼け色の再会
その男性と目が合い、思わずそらす。
いくら何でも、あの車が私の迎えのはずがない。
ああいう運転手つきの車に乗っているのは、それなりの立場がある人だ。
見なかったことにしよう。
けれど私の予想を裏切って、その男性は私に近づいてきて。
「亜美お嬢様でいらっしゃいますね。お迎えに上がりました。お乗りください」
と、車に案内して恭しくドアを開けてくれた。
後部座席は広々としていて、なめらかな革のシートが張られていた。
まるで造りの雑な機械のようにぎこちなく歩いて車に乗り込み、運転席の後ろに座ったけれど、なんとなく居心地が悪くて何度も姿勢を変える。
こんな風に扱われたことはない。
私が長谷川家の人間であることは確かな事実だけれど、つい数ヶ月前まではそんなことを少しも知らずに生きていたのだ。
いきなり高貴な人間のように迎えられても、戸惑いばかりが生まれる。