夕焼け色の再会
レモネードを飲みほしたグラスをウエイターに渡す。
珊瑚色のハイヒールを履いた足が痛い。
もともと私の足はバスケットシューズを履いて走り回るためにできているのだと思う。
こんな繊細なヒールでは、足元がおぼつかなくなるのはそのせいだ。
せっかく、これ以上ないほど美しいドレスを身にまとい、着飾っているのに。
沈鬱な気持ちばかりが胸を占め、楽しいことなどひとつもない。
ため息を飲み込んだ私に、さらなる頭痛の種が舞い降りたのはその直後だった。
くすくす。
小さいけれど、明らかに私に聞こえるように発せられたその嘲笑を、私の耳は聞き逃さなかった。
くすくす。
くすくす。
「見て、あの庶民丸出しな方」
「嫌だわ。あんな安っぽいドレスなんか着て。いくら派手に着飾ったとしても、どんなお育ちかわからない人ではね」
「突然現れた長谷川家の後継者だもの。わたしたちとは比べ物にならないくらい、高貴な方なのよ」
「今までどこに雲隠れなさっていたのかしらね。声をかけて差し上げる? 身の置き所がないようだし」
「惨めね。自分の家が主催のパーティーで孤立するなんて。あんな、今にもはがれそうな金メッキ、わたしたちとは合わないわ」
嫌味っぽい笑い声と囁きが聞こえた方を見やると、赤と青のドレスを着た二人の女性がこちらを見ていた。