夕焼け色の再会
「どうして謝るの? 戻ってきたんじゃないの? 亜美は、亜美は・・・・」
強い力で体を揺さぶられると、心まで揺れてしまう。
自分から手を離したはずなのに、許しを請いてすがりついてしまいそうだった。
しかしそれを遮ったのは、グレーのハンカチだった。
結衣の前にそれを差し出した手を辿ると、そこには羽島総司がいた。
「結衣、再会が嬉しいのはわかったけど、あんまり強く抱きしめると長谷川さん窒息するよ。お前の馬鹿力、自分が一番よくわかってるんだろ?」
茶化すような声色に、疑問が湧く。
結衣と羽島総司が知り合いだという話は聞いたことがなかったし、二人が一緒にいるところも見たことはなかった。
私が去ってからの八ヶ月で、急に親密になったのだろうか。
「長谷川さん。改めまして、羽島総司と申します。村瀬結衣の婚約者でもあります」
受け取ったハンカチで涙を拭う結衣と、羽島総司を交互に見つめ、私は状況が再びわからなくなった。
混乱を隠せなくなった私に、羽島総司は言った。
「とりあえず長谷川社長に、パーティーを抜ける許可をもらったらどうかな。積もる話が・・・・たとえ長谷川さんには無くても結衣にはあるみたいだから」
その言葉に押され、私は二人を残して再び会場へと戻った。