恋心 ~Opposite Nature~
◎01-隣の席の彼女
「だる……」
桜が少しずつ散り始めている中を、歩いて門を通り過ぎる。
春休みを終え、不規則になっている体がまだ重く感じる。今日から高二で、しかも初日ということはあれがある。
無駄に校長の話が長い、始業式が。
みんなが楽しみだと口を揃えて言う"クラス替え"もあるらしい。
正直、俺はどうでもいい。"クラス替え"だの、"新しい友達"だのぶっちゃけ俺には関係のない話だ。
そんな時、いきなり肩を叩かれた。
振り返ってはみるものの、見たこともない全く知らない奴だった。
「…何か」
「あの、山地くんって…。えっと…その……」
それから先を喋ろうともしない奴なんか、相手にする必要もない。
再び歩き始めた俺の肩を、そいつはまた叩いた。
「…何組ですか?」
「さあ」
やっぱりクラス替えのことだ。
「あの、山地くんと私…多分同じクラスなの。よろしく!!!」
…朝から無駄にテンションが高い奴。
そういう奴、特に苦手っていうか嫌いなんだよな。
さっきよりも速度を速めて昇降口に向かった俺の背中の方からは、鼓膜が破れそうなくらいの大きい声が聞こえてきた。