恋心 ~Opposite Nature~
「---田崎先輩」
バスケ部の練習が終わった頃を見計らって、体育館の外で雑用をしている先輩に声を掛けた。
「やっぱり、妃路に言って正解だったな。…久々、陽呂」
「今、大丈夫すか?」
「ああ。裏に行こう」
体育館裏は人気も無く、とても静かだった。
「あの、田崎先輩…」
「ん?」
「…すいませんでした」
あの日以来、ずっと田崎先輩を避けていた。ずっと心に閉じ込めていた言葉を、ようやく口にする事ができた。
「…謝られても、俺はもうバスケは出来ないんだ。謝られても困るな」
「…わかってます」
「なんで、お前バスケ辞めたんだよ。俺に対する自責の念か?」
「それもあります…」
「この前のクラスマッチ、見たよ。お前バリバリ出来るじゃん。なんで続けねえんだよ、陽呂。お前の怪我、治ったんだろ?」
「それは………はい」
「じゃあ、続けろよ。バスケ」
昔と変わらない笑顔を俺に向けてくれる。