恋心 ~Opposite Nature~
「あの怪我さ…」
「え?」
「お前の責任じゃねえよ。あの時、もう一人居たろ?唯一、無傷だった奴」
「…山下先輩」
昨日、山中を襲おうとした奴だ。
俺達が接触事故を起こした時、山下先輩も一緒だった。ただ、先輩だけは奇跡的に無傷だったっけ。
「あれ、あいつが俺とお前のどっちかを潰すためにやったことなんだよ」
「なんで…?」
「エースが抜けたら、補欠のあいつが全国に行けるだろ?それを、お前はずっと自分の責任だと思い込んできた訳」
先輩の言葉に、立っているのがやっとだった。そして、腹の底から…怒りがこみ上げてくる。
「だから、戻ってこいよ。俺達、今年から引退長引くんだ。一緒に全国目指そうぜ?監督には俺から伝えとくよ」
「…よろしくお願いします」
「言っとくけど、超厳しいぜ?ちゃんとついてこいよ」
「はい」
山中の言う通りだった。田崎先輩とちゃんと話せたし。
…借り、できたな。