恋心 ~Opposite Nature~
「……あ。はじめまして!山地くん。……とか言いつつ、何かあれだね。去年の体育祭での印象が強くって、何だかあたし、山地くんと初めて話す気がしないや。」
一人勝手に話し始めたのち、自嘲気味な苦笑を浮かべている。
こいつ…さっき担任が山中とか言ってたな。
"山中妃路"か。俺と下の名前一緒かよ。
「……うるさ」
体育祭がどうだの、またその話か。さっきの女子達と同じこと言いやがって…。
「うるさって……。酷いなあ。でもまあいいや。これからよろしくね、山地くん!」
苦笑しながらも、また笑顔で今度は手を差し出してきた。
こいつ…ほんとうぜえ。俺にいちいち関わってくるし、ほんと目障りなんだけど。
…ほっといてくれよ。
わざとガタンと音を立てて、席を立ち、
「…よろしくするつもりねえから」
そう吐き捨てた。