ゴメン、素直になれなくて
駅前の雑踏


こんなに人が行き交う中で


どうして私は
先輩に気付けたんだろう


どうして先輩も
私に気付けたのかな…


目が合った瞬間
一瞬固まった先輩は


そのまますぐに人ごみをかき分けて私に近寄ってきた。


先輩は他校の生徒。


先輩を見るのは、別れたあの日以来。


先輩…少し髪が伸びてる


立ち尽くす私に



「彩」



先輩は私の腕を捕まえた。



その瞬間
私たちの止まっていた時間が動き出したようだった。


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