複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
溢れる―樹 SIDE―
「もう呑めん…」
俺はソファーに凭れて、歪む視界の中で時計を見た。
21時半…
かれこれ1時間は呑んでたみたいだ。
短い時間で空きっ腹に呑んでしまったせいで、酔いが回ったのが早かったみたいだ。
「ほら。樹も匠もお水」
母親から水を受け取った俺は、テーブルに倒れ込むようにしてる匠を見ながら水を飲む。
灯が「丸でオヤジだね」と、俺らを嫌そうに見る。
兄として威厳がなくった気がするが、良いか。
元から匠と縁のせいで、俺の兄貴らしさはとっくにない。
ボーッと回る天井を眺めてると、「優香、居る!?」と、優太がリビングに飛び込んで来た。