複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
【第五章】キレる2人
約束事―樹 SIDE―
灯が優太を連れ、2人の実家へと行ってしまった。
車で3〜40分の道程だが、優太と車の安否が気になる。
母親は泣いてるだけで、もう話にならない。
マンションもいつの間にか優香の持ち物になってるみたいだし。
俺は頭を抱えながら、ダイニングテーブルの椅子に座った。
匠がコーヒーを出してくれると、保が隣に来た。
「優太たちマンションて、どんなとこ?」
「新しいな。確か築3年で、セキュリティ万全だった」
「そんなマンションを無人にしてて良いのか?」
「仕方ねぇだろ。親父たちが、“ここに住ませる”って言ったんだから」
俺はコーヒーを飲みながら保を見た。
すると、ジーっと保に見られる。