複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
見覚えがあったんだ。

樹兄か匠兄の元カノな気がする。

我が家に来たような、そんな覚えがある。

卵とケチャップを買った私は、裏道を使って、急いで帰った。

リビングに行き、母親に買い物袋を渡した私は、サングラスをソファーに放り投げ、匠兄に突進した。



「だぁ゛!;;
お前はいきなりなんだよ!;;」



軽く突き飛ばされた私は、床に尻餅を着く。

だが、痛みなんて感じない。



「匠兄だっけ?あの…何だっけ…あ!“瑠奈ールナー”さんと付き合ってたのは」



「瑠奈?瑠奈さんは兄貴だろ。
あー…ビックリした」



匠兄は私から目を逸らして徹のノートを覗き込む。
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