複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
優香は草介さんと同じように、後ろ手で何かを持ちながら近付いて来る。



「…あの、樹…」



「何だ?」



「さっきは…ヤキモチ妬いちゃってごめんなさい…。名前を間違えるなんて、誰にでもあるよね?…うん…ごめんなさい…」



優香は何か濃い赤の袋を差し出しながら兄貴に頭を下げる。

兄貴は優香の後頭部に手を回して引き寄せ、肩に肘を突きながら袋を開けてる。



「……ジャージか?」



「うん!さっき、し●むらの前を通ったら、見えて、樹に似合うだろうなー…って;;」



優香は赤い顔をさせながら言うと、兄貴は白のジャージを袋に戻した。
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