複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
「お前は馬鹿か――ッ!!;;」



兄貴はテーブルに飛び散ったコーヒーを台拭きで掃除しながら俺を見た。

「これは図星だわ」と、灯が俺の隣に座りながら言う。



「優香が“平松先生と、豊嶋先生しか信用出来ない”って、1年の時から言ってた」



優太が兄貴をチラッと見ながら言うと、兄貴は優太を見て、すぐに視線を逸らした。

平松先生は確か、3年間、優香を受け持ってるベテランのおばさん先生。

どうでも良いけど、俺は“匠先生”と呼ばれてる。

“豊嶋先生”だと、兄貴と被るから。



「優香が樹を信用しなくなったとして、学校でも居場所がなくなれば良いんだけどな」



父親は暗い顔をしながら言う。
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