複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
コーヒーを飲み、意を決した瞬間、携帯が鳴った。

俺は立ち上がり、喫煙ブースへと入った。



「もしもし?」



着信音で、家族だとわかってた俺は、何も考えずに出た。



『匠だけど、仕事は終わった?』



「まだあるけど、何だよ?」



わざわざ仕事だとわかってる俺に、匠が電話して来るなんて珍しい。

何かあるとすぐにはわかった。



『さっき、泊まって来る筈の優太から“迎えに来て”って頼まれたんだよ。それはべつに良いけど、優香の泣き声が聞こえたし、兄貴が行けるなら、兄貴が良いと思って』



優香の“泣き声”――?

泊まって来るんだよな――?
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