複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
「「樹…?」」



2人は俺を見て唖然としてる。

まぁ、匠が来ると思ってただろうし、当然か。

俺は優香に近付き、腕の中に閉じ込めながら、指で濡れた頬や瞼を拭った。



「まだ泣くか?」



「樹が来てくれたから泣かない。
樹が居てくれると、強くなった気になる」



優香は俺の胸に顔を埋め、鼻声で言いながら笑った。

優太は安心したように、頬の筋肉を緩めながら、何があったのか説明してくれた。

俺が2人を連れて館内に入ると、中は騒然としていた。

壇上に居るおっさんが、被災者の家族に言い寄られ、もうタジタジそうだ。
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