複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
縁が「草介さん家に顔でも出しに行くわね」と、ルンルンと帰って行くのを見届け、俺は優香に声を掛けた。



「どうしたんだよ」



俺が台拭きでカウンターを拭きながら言うと、優香は「うん…」と言いながら立ち上がり、隣へと来た。

フライパンを取り出し、冷蔵庫から肉を出す。



「私、昔から口には出さないけど結婚願望が高くて、両親が亡くなってから、早く家族も作りたいとも思ってた。
やっと結婚して、教師になったら順調と思ってたら、縁ちゃんの妊娠……羨ましくなっちゃった」



優香はミカンなどで下準備をしてあった肉を焼きながら、泣きそうな顔を見せた。
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