白梅香
メランコリィ。
哀願する薄紅が脆弱と化す朝に
僕は何を見ていたのだろう
苦し紛れに振り切った微かな微熱
その吐息が…途切れて
下がる幕と昇る日が終幕を告げた
それに気付かず開幕と信じる目
その目には映らぬ光が また一つ消えて
有終 永久に飾る美 赤い涙が流れ
「どうして…こんなことに…何故誰も…」
気付かない訳が無いと 責め立てる残像に
照明を消した眼球が 青い涙を溢す
硝子張りのこの空で葛藤と虚無だけが集う
逃げることも出来ずに
赤と青が融け合い 透明色の三日月
落ちる太陽が嫌いで目を背けた幼子
前を向くことを恐れた真実
あの時に…なんて今更遅すぎて
曖昧な答しか返せないけど
あの時に向けられたあの刃を 忘れてはいないさ
薄紅が躊躇いを見せた午後に
逆らいを踏みにじる脆弱
灯る微熱に反動を遺し さよならを告げた
硝子張りのこの夢に どうか有終を
迷い子の兎は猫の餌食
黒も白も融け合い 灰色の空よ
濁り眼に夢見た白濁とした真実に
前を向くことを恐れた現実
還れぬのなら 怖くはないと
馬鹿げた夢を 見ていた頃に
戻れるのであるならばどうか
硝子張りのこの空で葛藤と虚無だけが集う
逃げることも出来ずに
赤と青が融け合い 透明色の三日月
落ちる太陽が嫌いで目を背けた幼子
前を向くことを恐れた
硝子張りのこの夢を 見渡す限りの青空を
僕はもう悔やめない
微睡み落ちる刃よ どうか忘れずに
犠牲の悲叫を脳裏刻んでは再び見上げ
その脆弱に赦しを乞え
硝子張りのこの夢を 見渡す限りの青空を