金龍~星たちの絆~
健「なあ、葵。何で俺だけ、兄弟で関西弁なんやと思う?それはな、冷え切った家族の中を少しでも暖めようとしたんや。母さんがな、テレビの関西弁で漫才してるの見て、笑ったんや。」

葵「…………………」

健「でも、母さんはどんどん変わっていった。暴力はふるうわ、酒は飲みまくるわ。この額の怪我もな、母さんにつけられた。」

健「でも、天龍に拾われて。幸せになった。みんな優しいねん。温かい。」

健「でも翔が怖くなったことがあって。
  辛かったよ、俺ら兄弟はいじめられた。翔のせいで。」

健「そんな時、蓮と英ちゃんがきた。蓮は翔のことを、仲間だから怖くないって言った。英ちゃんは、翔を差別しないで、翔のことを差別している俺らを差別した。」

健「今は、そうじゃないんだけどな」

健は、少し嬉しそうに笑った。

健「でも今。天龍といる時より、蒼龍といるときのほうが楽に見えるんだよ、翔が!!」

健「…正直、どう接していいかわからん。怖いけど、でも、離れてってほしくない。」

葵「健は、翔の不思議な力信じてる?」

健「…わからん。言葉では信じてないって言ってるけど、本当は、信じてるのかも。でも、それは言えへん。」

葵「なんで?」

健「笑わんといてよ。
  意地や。兄として、一度否定したものは、認めるのが難しいんや。」

葵「笑わないよ。わ…俺だって、言えないことはある。でもね。」

葵「認めないことは、翔だけじゃない、自分自身も傷付けてるんだよ!」

その時綾さんが入ってきた。

綾「でも葵。どう伝えればいいの?僕ら、謝り方、知らないんだよ?」


葵「……そんなの簡単だよ。
  目を見て、抱きしめてあげればいいの。こんな風に…」

葵「健、頑張れ。」
葵「綾さん、頑張れ。」

わたしは、壊れないように、二人を抱きしめた。

綾「僕、言ってくる!」
健「俺も!」

綾・健「葵、ありがと!!!」

葵「…頑張れ、」

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