Thus, again <短>



少女の体に刻まれた傷を見つけ、少女が負っている傷の深さを、甘く見ていたことを思い知らされた。


ひとつ、ふたつ……

僕がいない間にそれは増えていくのだ。



それでも、夜中に僕ではなく、母親の名を呼び、声を押し殺して泣いている少女に、

本当に焦うているものが何であるのかを、気付かないままではいられなかった。



そして、為す術を持たない僕は、その事実に気付かぬフリをし続けることしかできないでいた。


それほどに、僕は幼く弱い、少女と同じ、まだ子どもだった。


それどころか、救われていたのは少女ではなく、僕の方だったのかもしれない。


心の闇を隠して笑う、無垢な少女に。



僕はきっと、心のどこかで、誰かに必要とされることを、強く望んでいたのだ。



そう思わせてくれる少女を、利用し、いつのまにか依存していた。



しかし、たとえ今の僕が、あの頃の自分を単なる利己心であったと振り返ったとして、

あの時、僕の精一杯で、少女を救いたいと試行錯誤した想いは、決して嘘ではない。

< 17 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop