Thus, again <短>
少女の体に刻まれた傷を見つけ、少女が負っている傷の深さを、甘く見ていたことを思い知らされた。
ひとつ、ふたつ……
僕がいない間にそれは増えていくのだ。
それでも、夜中に僕ではなく、母親の名を呼び、声を押し殺して泣いている少女に、
本当に焦うているものが何であるのかを、気付かないままではいられなかった。
そして、為す術を持たない僕は、その事実に気付かぬフリをし続けることしかできないでいた。
それほどに、僕は幼く弱い、少女と同じ、まだ子どもだった。
それどころか、救われていたのは少女ではなく、僕の方だったのかもしれない。
心の闇を隠して笑う、無垢な少女に。
僕はきっと、心のどこかで、誰かに必要とされることを、強く望んでいたのだ。
そう思わせてくれる少女を、利用し、いつのまにか依存していた。
しかし、たとえ今の僕が、あの頃の自分を単なる利己心であったと振り返ったとして、
あの時、僕の精一杯で、少女を救いたいと試行錯誤した想いは、決して嘘ではない。