Thus, again <短>
少女と僕の関係は、随分長いこと続いた。
あの子が気付いていたかどうかはわかりかねるが、僕はいつのまにか、
いつか二人の世界にも終わりが来ることを、漠然と理解しながら時を過ごしていた。
ふと気付いてみれば、少女の歳は、僕たちが初めて出会った時の、自分の年齢に辿り着き、
そして僕は、とうとう規則で固められた制服から卒業し、大人への一歩を踏み出そうとしていた。
この頃の僕はもう、出会った当時に比べれば、大抵の世の中の仕組みを理解していたし、
僕一人ではしてやれないことが何であるのかも、十分に悟っていた。
少女のために、何をすべきなのかということも――
しかしながら、知識は成長しても僕自身ができることは、皮肉にもあの頃と何も変わっていなかったのだ。
悔しいことだが、どんなに足掻こうとも、僕自身、所詮一人で立ってはいられない、
“親”という庇護の下に、安住している身にすぎなかった。