Thus, again <短>
しかし一方で、僕と同じ分の時を刻んだ少女もまた、きちんと成長していた。
いつでも部屋は片付けられ、数年前までの淀んだ部屋の空気は跡形もなくなった。
台所に立つのも、いつのまにか僕ではなく少女の役目になっていた。
目に見える傷も薄れ、次第に消えかけていた。
それでも、幾日も変わらず僕の姿を待ち続け、
真夜中には、声を殺して泣くところは、ちっとも変わっていなかった。
少女が心に負った傷は、決して癒えることはなく、時と共に少女の心を蝕み続けていた。
少女の心に負った傷も、空いた隙間を埋められるのも、僕ではない。
僕一人ではもはや限界であるということは、明白だった。
僕は、本当に変えなければならないものは、何一つ変えてやることなどできてはいなかったのだ。