your love
「どうしたんだよ!!?このアザ!!!」
龍介が鬼気迫る表情で問いかける…
「あ…え…」
返答に困る。どう答えたらいいのか…
「…多分、あいつらがビンタした」
広樹の呟き。
その瞬間、二人の表情が激変した。
「なんでだよ!!!!??なんでこんなになるまで叩かれて…なんでなんにも言わなかったんだよ!!?」
悲痛な叫び。怒りと、悲しみと、無力感にうちひしがれる、男の叫び。
「…龍介、美月と里菜の気持ちも考えやって」
広樹が激情した龍介を諫める。
「だって!!!!!
…おっ、俺は結局、自分がケガさしちまった女の子さえっ!!!!」
悲しみを湛えた大きな瞳を強く瞑り。
「救えないッッッッッッ!!!!!」
叫ぶ。己の中の黒い何かを吐き出すように。
過去に何か、大きな傷を負った、男。
自分への怒りと、大きな無力感が彼を支配している。
美月が被害者だというのに、美月自身でさえ、龍介の叫びに胸をうたれた。
「…先輩、私は平気ですから…」
できる限り穏やかに、龍介に語りかける。
「…帰ろ」
遠くでは、チャイムが昼休みの終わりを告げていた。
「っ……」
龍介は目もとを乱暴に拭い、一人で校舎とは逆方向に歩き出した。
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