〜君へ〜
-キーンコーン-

終業のチャイムが鳴った。


結局、あのあと悟には会わなかった。社内案内とか教育実習みたいなのをずっとやってるみたいで、私の部署には戻ってこなかった。

ホッとしたような…寂しいような……

………

本当に悟だったのカナ?私の勘違いとか……?


そんな事ない。確かに悟だった。

はぁー…

-バコッ-

「いったぁ〜…」

「なーにシケた顔してんのよ。今日定時で上がりだよ。帰ろ!」

「メグ!!…ぁ、そっか。もう終業のチャイム鳴ったんだった。」

「…。ぁ、そーだ。今日帰りにジニー寄って一杯飲んでこーよ♪」

「いーね②☆行こうー!」

「そうと決まったら早く机周り片付けて、さっさと会社を出るゾ。」

「うんッ」


ジニーは私とメグの行きつけのお店。 仕事帰りにここでよく二人でご飯食べたり飲んだり。
実はメグの彼氏サンがジニーのマスターなんだ。

「片付け終わった?」

「ぁ、うん!行こっか!」


たわいもない話をしながら部署を出た。

エレベーターに乗って一階に向かう。

-ポーン-
一階に着いた。

おしゃべりに夢中になり過ぎて前も見ずエレベーターを降りようとした。

「ぁっ!夏美!前ッ……」

-ドンッ-

-バタン-



何かにぶつかった。そして派手に転んでしまった。
「ィタタタ…」

「夏美〜。大丈夫??」

メグが起こしに来てくれた。

「大丈夫②。ぁりがと。」


(ぁ!!ぶつかった人は!?私ぶつかっておいて謝ってなぃゃ!)


「ぁ、ぁの!!大丈夫ですか!?本当にごめんなさぃ!!」


「…夏美?」

…!!


「夏美!!夏美だろ!?何でここに…。」


「悟…」


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