短編

「ねぇ。」




「…ん?」



「…これ、あげる。」


窓の外にむけていた目線を田中くんに向ける。


「…チロルチョコ?」


私をみながら田中くんが片手を出していた。


その手の上に3個のチロルチョコが転がっている。


「ん、明日バレンタインだから。」


「田中くんが私にくれるの?」


「そう、逆チョコ。」


「えっ…」


私が驚いた瞬間、私の頬に柔らかい感触が伝わる。


視界には田中くんの整った顔。


「好きだよ。」


至近距離で私の目をじっと見つめる。


「吉高にチョコなんかあげるな。俺が管野にチョコあげるから。」

「ずっと、好きだった。吉高の事が好きなのは知ってる。だから、いますぐ返事はしないで。」


私の目を見つめながら自分の気持ちをぶつけてくる田中くんを私は呆然と見つめ返す。



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