輝く季節へ

恋の始まり


その日から、
私の長身クンへの恋は始まった。

長身クン 
―名前は、関谷(せきや)実(みのる)。
 関谷実といえばクラスの大多数が
「背が高くカッコ良くて、
  面白くて頭もいい」
というイメージを浮かべるであろう。

それから・・・
私の友達であるマッコと仲が良い、
ということも。


私から見るとあの二人は
随分親しく見えるんだけど、
マッコは「ムカつく!」って
しょっちゅう言ってたから、
ケンカ友達なのかな~と思ってた。

だからなんか、
「関谷君のことが好きになったの。」
なんて言いにくくて・・・。
 でも私はマッコのこと
本当に友達だと思ってたから、
正直に言うことにしたのね。


で、ある日の帰り道そのことを告白したの。
そしたらマッコ、

  「何となく知ってたよ。
   もしかしたらそうじゃないかなー
   って思ってた。」

なんて言うから驚いちゃった。
それから、

「応援するよ。協力ももちろんするからね!」

って背中を押してくれた。
マッコも私のこと、
本当に友達だと思ってくれてるんだ
って実感した。
正直に話してよかったって、
そう思ったの。

 
 でもね、日にちを重ねる毎に、
マッコの関谷君に対する態度が、
極端に変わっていったの。
なんかさ・・・
〝冷たくなった〟っていうのか、
避けているみたいに。

前だったら関谷君に
「お前尻で餅をつきすぎなんだよ~。」
とか冗談でからかわれたりすると、

「なによぉ~。
あんただってギャグがクーラー要らずだって
皆から呆れられてんのよ!」
なんて言い返してたのに・・・。

私の気持ちを知った後は
「ごめんねー、私ってドジだからさぁ。」
って突っかかる様子が微塵もなくなったの。


 そんな状態のまま夏休みに入った。
私は、八月の初めに一回だけ
マッコと遊びに出かけた。
暑い中お気に入りのワンピースを着て、
プールに行った。

雲が真っ白だった。
空も、青くて。
濁ることもないほど。
それから、八月の終わりに一度だけ
偶然関谷君を見かけた。

私に気づくことなく通り過ぎていった。
私も声を掛けなかった。

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