輝く季節へ

紙袋の中のクラスメート



二月十四日、
みっちゃんはケンジ君に
告白をした。

真っ赤なリボンで
装飾された包み紙の、
ハードカバーの本くらい大きな
チョコレートを渡して。

ケンジ君は自分も好きだといった。

二人の想いは同じだった。



私もジングにチョコレートを渡した。

告白の言葉は告げなかったけれど、
精一杯の想いをこめて。

ジングは私のチョコを受け取る手と反対の手に、
A4サイズ程の紙袋をぶら提げていた。

他の女の子が渡したらしき
十数個のチョコレートの中に、
私の想いが詰まったソレは、
〝同じように〟放り込まれた。

ただ、それだけのことだった。


**************


 休み時間のさりげない会話が
 聞こえてくる。


 「オレもケンジみたいに、
   好きな人にチョコもらって
      告白されてーよ。」


 
  ― 紙袋の中のクラスメート。
    ただ、それだけのことだった。


  ― なんだ・・・
    また同じだったんだ。

 
 楽しい時なんてさ、
 ずっと続かないのが
 当たり前なんだよね。
 だから何も悲しむことなんてないんだ。


 もう、終わったことなんだから。



< 27 / 52 >

この作品をシェア

pagetop