輝く季節へ
紙袋の中のクラスメート
二月十四日、
みっちゃんはケンジ君に
告白をした。
真っ赤なリボンで
装飾された包み紙の、
ハードカバーの本くらい大きな
チョコレートを渡して。
ケンジ君は自分も好きだといった。
二人の想いは同じだった。
私もジングにチョコレートを渡した。
告白の言葉は告げなかったけれど、
精一杯の想いをこめて。
ジングは私のチョコを受け取る手と反対の手に、
A4サイズ程の紙袋をぶら提げていた。
他の女の子が渡したらしき
十数個のチョコレートの中に、
私の想いが詰まったソレは、
〝同じように〟放り込まれた。
ただ、それだけのことだった。
**************
休み時間のさりげない会話が
聞こえてくる。
「オレもケンジみたいに、
好きな人にチョコもらって
告白されてーよ。」
― 紙袋の中のクラスメート。
ただ、それだけのことだった。
― なんだ・・・
また同じだったんだ。
楽しい時なんてさ、
ずっと続かないのが
当たり前なんだよね。
だから何も悲しむことなんてないんだ。
もう、終わったことなんだから。