輝く季節へ
SEASON・2 初恋、痛み。

小学校入学!

 小学校入学、まだ6歳の私。


 一年生の四月は、
桜が綺麗だったんだろうなぁ。
新鮮で透き通ったピンク色だったんだろうなぁ。
思いを駆け巡らすだけで
胸が躍るようだわ。

 友達の作り方なんか知らなかったし、
仲良くなるコツだって考えたこともなかった。
なのにあの頃は、
周りに『お友達』がたくさんいたんだ。
孤独なんて感じたこともなくて。

 先生も友達もすごく優しくて、
学校中のどこにいても
守られている気がしていた。

 例えば、怪我をしたとき。
怪我と言ってもそんな大袈裟なものじゃなくて、
転んで膝を擦りむいた程度。
痛みと恐怖で泣いてしまう私の周りを、
クラス中の生徒が取り囲む。

どの子も口々に心配した言葉や
慰めの言葉を掛けてくれる。

担任の先生もすぐに駆け寄ってきて、
「何処を怪我したの?」って聞いてくれる。
見てみぬフリをすることなんてなかった。
皆が、優しかった。



 だけどね、『仲間はずれ』はあったんだよね。
「○○ちゃんと仲良くしちゃダメ」とか。
 なんか寂しいよね。よく分かんないよね。
 そういう時自分でも気づかぬ本性が
見え隠れするから、また怖いんだ。

いつもは皆が仲睦まじいのが一番だって
思っているはずなのに、
仲間はずれにされているのが自分じゃなかったら、
心の中を安心感でいっぱいにしてるの。

『仲間』に入っているっていうことが
嬉しくて仕方がなかったり、
変な優越感に浸ってしまったりするの。

そんな自分がすごく嫌だ。
その気持ちは喜びとは呼びたくないね、絶対。
ほら、だって逆の立場だったらどうなの?
仲間はずれになって本気で喜ぶ人なんていないでしょ。


私が持ったような無意識の感情
(喜びや優越感)は、
子供ながらの残酷性なのよね。
自分の心に嘘は吐けない。
だからこそ人間の根本にある本能だって、
包み隠したりしない。
ダメな部分だって同じ。



< 7 / 52 >

この作品をシェア

pagetop