はつこい
彼の優しい瞳から、
涙が一筋こぼれました。

私はただその場にたたずんで、
それをみていました。


それがどれくらいの時間だったのか、
わかりません。


その間に田野くんが、
こちらをみた気もするし、
全く目もくれなかったような気もします。


私には何も出来ませんでした。



ただ彼のその姿を、
ただただ愛しいと思うだけでした。


その間私は泣いていたような気もするし、
泣かなかったような気もします。



思えば、
田野くんに初めて会ってから、
10年近くの時が経とうとしていました。
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