はつこい
スピーチを終え、
帰ってきた田野くんに、
涙をぬぐい、拍手を送りながら、
言いました。
口元に手を当て、
『内緒話』のポーズを作って。
ねえ田野くん。
私、ずっと田野くんのこと、すきだった。
初めて話した時、
こんなに優しい目でみつめられてる、
杏美さんをうらやましいと思ったの。
きっとあの大学に行ったのも、
そのせい。
ひょっとしたら、私は田野くん以上に、
杏美さんの影を追いかけていたのかもしれない。
田野くんが、
杏美さんのことをずーっと、
変わらずにすきでいることが、
前は不思議だった。
けど、今はわかる。
私も同じだったことに気づいたから。
だって、ねえ田野くん。
私たち、
初めて出会ってから15年も経ってるの。
今でも、
あの時と同じ。
田野くんのことが、
だいすきです。
― fin ―
帰ってきた田野くんに、
涙をぬぐい、拍手を送りながら、
言いました。
口元に手を当て、
『内緒話』のポーズを作って。
ねえ田野くん。
私、ずっと田野くんのこと、すきだった。
初めて話した時、
こんなに優しい目でみつめられてる、
杏美さんをうらやましいと思ったの。
きっとあの大学に行ったのも、
そのせい。
ひょっとしたら、私は田野くん以上に、
杏美さんの影を追いかけていたのかもしれない。
田野くんが、
杏美さんのことをずーっと、
変わらずにすきでいることが、
前は不思議だった。
けど、今はわかる。
私も同じだったことに気づいたから。
だって、ねえ田野くん。
私たち、
初めて出会ってから15年も経ってるの。
今でも、
あの時と同じ。
田野くんのことが、
だいすきです。
― fin ―